『笑顔の中に美味さあり。』

やきとん専門店「やき処やんちゃ」店主ブログ

山の怖さ
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今朝、テレビをつけると山梨県キャンプ場で女児が行方不明になった事件を報じていました。

あれからもう6年が経ちましたか。
のちに靴や足の骨が発見されDNA鑑定の結果、行方不明の女の子のものと判明したという。

事件だっとのか事故だったのか。
野生の熊などによる事故だったのか、あるいは人為的な誘拐殺人事件だったのか、
その真相は未だに解明できないままです。

どうか安らかに、そしていつの日か真実が解明されることを願っております。

実は、自分も山で迷子になったことがあるんですよ。
今日は少しその時の話しでも。

あれは小学校1年生の頃でしたから、山梨の女の子と同じ歳の時です。
親父とおふくろ、そして親父の知り合いのおじさんと鶴岡市菅野代の山奥に
山菜取りに竹籠を背負って出掛けた日のことです。

「絶対に手を離すなよ。」「一人で勝手に動くなよ。」と口うるさく言われていたんですけど、
いよいよ山菜ポイントに辿り着いて親たちが必死で山菜を採り始めている一瞬のスキに、
目の前にイモリを見つけて、それを追っかけて沢の方に一人で下りて行ってしまったんですね。

気がついたら周りに誰もいない。
ひょっとしたら沢の上のほうで名前を叫んでいたのかもしれないけれど、
沢の流れや音でそんな声すらも全く聞こえませんでした。

気がつくと今どこにいて、どこから下りてきたのか、どうやって沢に入ったのかも分からない。

子供心に「これはヤバいな。」と直感したんです。
で、山に登ってきたということは低い方に行けば車を停めた場所に辿り着くだろうと思って、
沢づたいに「下に、下に。」と子どもの足で沢を下って行ったんです。

もちろん、沢も真っすぐなわけではありませんし、登ってきたところに出るとは限りません。
とにかく、その場に留まっていてはダメだという直感だけで沢を下ることで必死でした。

たぶん1時間くらいは一人で沢を下っていたと思います。
あのとき、万が一でも野生の熊と遭遇していたら、間違いなく生きてはいないでしょう。

泣きはしなかったけれど、不安と孤独の中で靴も泥だらけになりながら下へ下へと歩いていました。
そんな不安を紛らわそうと、当時テレビでやっていた刑事ドラマ「太陽にほえろ!」の
テーマソングを口ずさんで気持ちを鼓舞していたのを覚えています。

まったく見覚えはない場所だったけれど、ようやく道路が見えてホッとしましたよね。
そして、小さな橋のあるところで誰か人か車が通るのを座って待っていたんです。

しばらくすると一台の軽トラが通りかかり、運転していたおじいさんが
「ボク、こんなところでどうしたんだ?」と声をかけてくれたんで
「ぼく、親とはぐれて迷子になりました。」って言ったんですよ。

そしたらすぐにその軽トラに乗せてくれて、菅野代の集落をあちこち走り回って
どこかの山すそに停めたはずの自家用車を探してくれたんですね。

しばらく走ると家の車が見えて、すでに下山していた親父とおふくろとおじさんの姿が見えました。

見失った自分を心配してすでに下山していたんでしょうね。
軽トラのおじいさんが「あんたら、こんな小さい子ども連れて山に入ったらダメだろ!」と
もの凄い剣幕で怒っていたんですよ。

そもそも、自分が約束を守らずイモリを追いかけて沢に下りてしまったのが原因だったんで、
そのことで親が大声で怒られている姿を見るのはつらかったですね。

おふくろは泣いていました。
「一人で勝手に動くなって言ったろ!無事でよかった!」と抱きしめてくれたんですよ。

携帯電話がある時代だったら、それこそもっと大騒ぎになっていたと思います。
沢を一人で下って1時間、おじいさんに拾ってもらって無事に親に合うまで30分だったとしても
山で小学1年生がはぐれて1時間半って相当な時間だと思います。

無事に親に会えて安心した反面、勝手に沢に下りたことをいつまでも申し訳なく思っていました。

山梨の事件も真相は分かりませんが、事故の可能性もあるのかもしれません。
一瞬で親の目から消えてしまう、視界から死角に消えてしまうのが山の怖さだし、
自分の考えで勝手に動き回るのも子どもの行動範疇ともいえる気がします。

自分が経験したあの孤独と山の怖さは、50年以上経った今でも鮮明に記憶に残っています。
今の時代になり、鶴岡市内でも熊が出没して駆除されるほど野生動物との距離が近くなった。
つくづく、あの日あの沢で熊と遭遇しなくて助かったと思います。
山菜は採りに行くよりも、買いに行くのが賢明です。

さて、そろそろ買い出しに出掛けますか。
今日ものんびりやってます。
それではまた。

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