『笑顔の中に美味さあり。』

やきとん専門店「やき処やんちゃ」店主ブログ

東松山にて①
毎度ありがとうございます!

雨の休日。
愛犬カールの散歩も行けず、のんびりと一人コーヒーを飲みながら、
先月行った埼玉・東京出張のことを書こうと思います。

毎日の仕入でお世話になっている「庄内ミート」には、地元のやきとり店などが加盟して組織される
「庄内ミート親和会」というものがあり、鶴岡市内を中心に現在44店舗が加盟しております。

年会費を払い、同業者が一同に集うやきとり屋組織というのも珍しく、その組織力をもっと有効に
活用しようと、過去には「鶴岡やきとり食べ歩きMAP」製作を自ら提案したこともありました。
ま、保守的で年配者が多い組織にありがちな腰の重さで、見事にボツになったことは
以前からこのブログをご覧の方はすでにご存知かと思われます(笑

埼玉県東松山市は全国で始めて「やきとり組合」が発足した街で、
豚カシラ串に辛味噌をつけて食べる東松山流スタイルが定着し、
日本7大やきとりの一つに数えられる街なんです。

全国やきとり連絡協議会(全や連)が制定している7大やきとりとは、
美唄・室蘭・福島・東松山・今治・長門・久留米の7つの街で、
その中でも地元に「やきとり組合」を持つ東松山市には、以前から興味を持っていて
一度は行ってみたいなと思っていたんですね。

規模やカタチは違えど、庄内にも44店舗ものやきとり屋が集う組織があるわけですから、
なにか今後の方向性のヒントや地域活性化の刺激になればと思っていた矢先に、
たまたま社長との雑談の中で意気投合し、今回の視察出張が実現したというわけです。

残念ながら平日の月火という日程に難色を示すお店も多く、参加加盟店は4店舗だけでしたけど、
参加者の数ではなく、まずはこういう企画に賛同し参加してくれたこと自体が大きな前進でもあり
小さな変化でもあるわけですから、もの凄く期待感と楽しみを持って出発いたしました。

埼玉までのバスの中で、隣に座った常務に普段は聞けない話をたくさん聞かせてもらいました。

鶴岡で何気なく食べているやきとり(やきとん)ですけど、庄内町余目に食肉公社(と場)
がある鶴岡の立地は、内臓の鮮度の非常にいいものが手に入るという意味では、
本当に恵まれた環境にあるんですね。

東京では、肉屋から仕入れた日のうちは新鮮だと思っているお店も少なくないそうなんですけど、
内臓は仕入れた日ではなく、と畜した日がいつなのかが実は鮮度を語る上では重要なポイントに
なってくるわけです。
東京ではと場の数がどんどん減り、今は芝浦と場だけになってしまったようですから、
本当の意味での鮮度の良い内臓というものは手に入りにくい環境のかもしれません。

ウチのレバーのように、午前中にと畜したものがその日の夕方に手に入るなんて、
当たり前のようですが、その環境は凄く恵まれているということがわかるでしょう。

以前は豚レバーの生食に寛容だった時代でも、庄内ミート創業以来、何十年たった今でも
レバーでの食中毒事故はただの一件も起きていないそうです。

などと話しをしているうちに東松山に到着。
時刻は16時半でした。

東松山ICから道なりに老舗のお店を覗くものの、バスが止めれず断念したり、
仕込みの最中で入店できなかったりしたんですけど、吉田類の酒場放浪記にも登場した
名店「大松屋」さんに運よく入店することができたんです。
 
ここは、例の東松山流発祥のお店だそうで、カウンター等間隔にドーンと
辛味噌が置いてあります。
座るとすぐに飲み物の注文を聞かれますが、その間にすぐにカシラ串が焼かれ、
ストップというまでカシラ串が出てくるシステムでした。

シロやレバーも食べたかったので、カシラ串は3本食べたところでストップ!
辛すぎず甘すぎない絶妙の辛味噌がカシラ串に合います。

東松山ではカシラと総称していますが、鶴岡でいうところのカシラ・コメカミ・
おたふく・ほっぺ全ての部位が混ざって18cm串に刺さっています。
逆に言えば、鶴岡の串は15cmが一般的ですけど、各部位を細かく分けて
刺しますので、いろんな部位を楽しめるともいえるのかもしれませんね。

長いコの字のカウンターには30人近く座れます。
焼き場を担当する御歳83歳の女将さんと、その娘さんたちだけで切り盛りしているせいか、
チャキチャキの接客と手際の良さには、こちらが圧倒されてしまいます。
 
焼き上げたやきとりを乗せる皿は二人で一皿を使います。
食べ終えた串も皿の上に並べるのではなく、直接カウンターに置けと言います(笑

営業時間は午後4時から8時くらいまでだそうで、それ以降に来るお客さんは、
「飲みに来てんだか食いに来てんだか分からなくてダメなんだ~。」と
女将さんが笑って教えてくれました。

ねぎが挟んであるわりには、どれも少し焼きがハードな気がしましたけど、
辛味噌を塗って食べるせいか、あまり苦さは感じませんでした。

同行したご婦人は、一緒に頼んだトマトやもろきゅうにも辛味噌を塗って食べてたくらい
この辛味噌にハマってましたもんね。

全部が豚なのかと思いきや、煮込みだけはハチノス(牛の第2胃袋)を使ってました。
「ウチのは辛いよ。」と忠告されてましたけど、そのフォルムを見ただけで辛いと分かります(笑
酒のアテにはいいんでしょうけど、汁まで飲みたい派の自分には少し濃かった印象ですかね。

それでも、味やシステムもさることながら、女将さんの人柄やお店の佇まいや雰囲気が
本当にいい味出ていて、新しいお店では醸し出せない空気感が心地よく酔わせてくれます。

女将さんに「この後も流れていくんだったら、組合長の店に行ったら?」と勧められて、
駅前方面にゾロゾロ歩いて移動することにしたんです。
バスは置きっぱなしで…(笑

つづく。




コメント

1. 環境

東京より凄く良いやきとん環境の鶴岡市。
だからなんてすね、やはりやんちゃさんのやきとんが一番美味しいですもん。
それでも、焼き方や味付け方、雰囲気等で美味しさも感じ方も変わってきます。

参加された店舗は少なかったみたいですが、その店は何かしらいい変化があるんじゃないでしょうか。
私の同級生の店も参加していたようで(笑)

2. >しんさん

そうなんですよね。
食べる側も提供する側も、その環境の利点を
いまひとつ活かしきれていないというか・・・

参加されたお店に、目に見える変化がなかったとしても
今回の視察で何を感じたか、が大きな一歩だと思いますし
まだまだ鶴岡のやきとり文化の可能性を信じてみたいと思います。

そうそう、八重さんも前会長ですので、積極的に参加していただきました。
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