『笑顔の中に美味さあり。』

やきとん専門店「やき処やんちゃ」店主ブログ

常温論争

毎度ありがとうございます!

日本酒を頼む時に「冷や(ひや)」と頼むと常温が出てくるのは一昔前の話で、今は冷やを頼むと
冷蔵庫で冷やした「冷酒(れいしゅ)」が出てくるお店が多いのではないでしょうか。

昔からの「冷や」好きの方は面白くないでしょうけど、特級・一級酒・二級酒の時代とは違って、
最近は精米歩合も高く繊細で保管が難しいお酒が多いうえに、そういうお酒が売れる時代になり
常温で保管しているお酒がないお店も増えてきているように思います。

当店でも常温保管しているお酒は「竹の露」の普通酒のみです。
それでも「冷やで何かありますか?」と聞かれれば、分かっていてもあえて「常温でですか?」と
自分の場合は確認させて頂いております。

最近は「常温で。」と言ってくださる方も多くなってきましたので大きな誤解もなくなりましたけど、
一昔前までは冷たい日本酒を出すと「これは冷酒だろう。冷やを頼んだのに。」とトラブルに
なる事もあったんですよね。

正直、当店で日本酒を頼まれるお客様すべての中でも「冷や=常温」という認識でご注文される方は
1%(100人に1人)がいいところでしょうか。

自分が他のお店で冷や酒を呑みたい時には「常温で。」と頼みます。
それが本来のカタチではない、無粋なことだとしても「常温で。」と頼んでいます。

「本当の酒飲みは冷や(常温)で呑むもんだ。」という呑兵衛もたくさん知っていますけど、
実際には冷やして美味しいお酒が売れますし、作り手も冷蔵販売・冷蔵保管を推奨しています。

日本酒における「冷や=常温」という認識は、決して間違っていませんし正解なんですけど、
これからの飲食業界においては、どんどん死語になっていく気がしてなりません。

最近はテレビのうんちくのせいか、お客が会計の際に「あおいそ」というのは間違いだ、と
わざわざ自分に教えてくださるお客様も多くなってきました。
でも、当店では80%の方々はお帰りの際に「おあいそしてちょうだい。」と言いますし、
こちらも何の不快感もなく「はい、おあいそですね~。ありがとうございま~す!!」で
まったく問題ありません。

言葉本来の意味やその背景も然ることながら、言葉は時代とともに暮らしとともに変化し、
人々の日常生活の中に根付き都合よく使われていくものだと思っています。

すし屋で「醤油=むらさき」と知っていても、自分は「お醤油ください。」と言いますし、
「お茶=あがり」と知っていても「お茶ひとつください。」と頼みます。

冷蔵庫が普及し、冷たく冷やして飲んで美味しい繊細なお酒を飲食店で取り扱うようになった今、
「冷や」という注文で当たり前に冷やしていないお酒が提供されることは少なくなっていくでしょう。

昔は串に刺さっていれば、鶏肉だろうと豚肉だろうとみな「やきとり」といいました。
14年前に鶴岡で、いや庄内で初めて「やきとん」という赤提灯を掲げて、
「やきとんなんていうから何か珍しいもの出す店かと思ったら、普通のやきとり屋だっちゃ!」
と揶揄された事もありましたけど、今ではみなさん「やきとり」と「やきとん」の違いを
知ってくださるようになりました。

他にも「スノータイヤ」といえばザックリと冬に履く「冬タイヤ」の事を指してましたけど、
「スパイクタイヤ」の規制に伴って開発された「スタッドレスタイヤ」のことと同義語になり、
一般生活においては「スノータイヤ」は死語になりつつあるでしょう。

物が豊かな時代になり、それまでの大雑把なジャンルやくくりの名称から細分化し、
はっきりと相手に伝わる意思を持った言葉のみが使われ続けることで、
言葉や用語も淘汰され、そして生き残っていくのだと思います。

寂しい反面、そういう時代に生きているという事を実感させられます。

そういえば、このブログもキーボードを打って入力しているのに
「ブログを書く」と言いますねぇ。。。
紙に書くという本来の意味とはまた違った使われ方のひとつかも
しれませんね。

「冷や」の話しから随分と長くなりました。

そろそろ風呂に入って寝ます。
おやすみなさい。


 

コメント

1. 無題

寿司屋で、『おあいそ』は職人サン言葉と言うか寿司屋業界の用語だと思ってましたので、僕は『お会計お願いしま~す』か『ごちそうさまでしたー』と言ってました…
あ、寿司屋といえば!そろそろ行かないとダメですね!
かだねっこも破れましたので体調も回復してきました!!

2. (`・ ω・´)ъ

おかやんでギャルが冷でと注文。
耕ちゃんが冷たいのですか?と確認(冷酒として注文する人が多い為)
ギャルは常温です常温と訂正。

惚れてしまう物件でした(笑)


私は注文する時は冷たいの、常温で、かな。

3. >仙台屋の自販機さん

お客様が「おあいそ」というのはNG!とか言いますけど
ほとんどのお客様が「おあいそ」といいますし
我々お店側もそれで通じますしね。

ちなみに、自分も「おあいそ」とは言いませんけど、
それが便利で有効的な言葉なら、本来の使い方から
外れた使い方だったとしても問題はないのではないかと。

最近は日本酒の裏ラベルにも、美味しい飲み方に
「冷やして」「常温で」と表示するお酒も多くなってきました。

お店側もスタッフ教育の際に「冷や」の定義を教えますけど
本当~に稀な注文に混乱する場合があります。
冷えていないお酒のご注文は「常温で。」でダメですかね~。

4. >しんさん

おひさしぶりです。

やっぱり耕ちゃんも「冷たいのですか?」と確認してますか。
やっぱり、冷酒として注文される方が、それだけ多いんでしょうね。

しかし、立飲み屋で常温の酒を「冷や」と頼むギャルがいるとは
日本の飲兵衛も捨てたもんじゃないですよね~(≡^∇^≡)
自分が隣にいたら、調子こいておごっていたかもしれません(笑

リニューアルした「ぢどり屋」にも行きたいし、
「ドラム缶」に「晩杯屋」にも行きたいし。

秋まで出張は組めませんので、がまんがまんの日々です(笑
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