『笑顔の中に美味さあり。』

やきとん専門店「やき処やんちゃ」店主ブログ

押し出しファーボール
毎度ありがとうございます!

50周年記念誌の編集作業の真っ只中に、編集長をお願いしてる後輩のタザワが、
田中先生の奥様からたくさんの写真が綴られたアルバムを、何冊もお借りしてきました。

甲子園出場を決めた瞬間の歓喜に沸く鶴岡市民の様子や、甲子園や宿舎での様子のほかに、
毎年恒例行事だった芋煮会の集合写真も、各年度ごとを丁寧にスクラップされていて、
1枚づつ田中先生がファイルで閉じてくれて大切に保管してくれていたんだなぁと思うと、
もの凄く感慨深い気持ちになったんですよね。

そして、そんな中に自分たちの年代の写真のページもありまして、そこには高校最後の打席の
自分の写真も一枚だけ綴られていました。

みんなかっこよく打ったり構えたりしてる写真の中に、
押し出しファーボールで最後を終えた自分らしい不恰好な
「見送り」の写真でした。

周りにほかのOBたちがいなかったら、
間違いなく泣いていたと思います。

こんな写真があったこと、それを大切にアルバムに貼って田中先生が残しておいてくれたこと・・・
1枚の写真から、いろんな想いや感情が溢れ出て、胸が熱くなるのを抑えきれませんでした。

県立高校の受験に失敗して、滑り止めの鶴商学園にかろうじて入学できて、なんとか続けた
野球部でヘタクソだった自分の現役最後の打席を、まさか田中先生のアルバムの中から
見つけることになろうとは夢にも思っていませんでした。

準々決勝の山形南戦で9点差ついてなおも満塁、1点入れば5回コールド勝ちの場面で
「イシカワ、押し出しでいいから振らなくていいぞ。」と声をかけて送り出された、
いわば思い出作りの最後の打席でした。

代打で送り出しておいて「振るな」はねーだろうが!とムカついて打席に入ったんですよね。

そして、その初球・・・
先生からの指示を無視してマン振りした打球は、レフト線に切れる大ファールでした。
ベンチから聞こえるナインからの声は「いいぞー!思い切って振ってけよー!」
田中先生からの指示を無視して、みんなが「お前が打って決めろよ!」と背中を押してくれていました。

晩年、先生と二人で酒田に買い物に行く車の中で、あのときの代打の話しを聞いたら、
しっかりと覚えていて、次の日の準決勝・日大山形戦に備えてピッチャーを1イニングでも
温存したかったんだという、ごもっともなお考えのもとで自分を送り出してくれたんだと知り、
ガンガン打ちに行った自分が恥ずかしくなったことまで思い出しました。

「ちぇっ!何だよ、押し出しかよ!」
そう思って見送った高校最終打席の瞬間でした。

結果的には先生の思惑どおりに押し出しファーボールでゲームセットにはなったわけですけど、
ベンチに帰ってから「勝手なことをするな!バカたれが!」と怒られるのを覚悟していたら、
先生は何も言いませんでした。

もちろん、次の日の準決勝・日大山形戦では出番は一切ありませんでしたけどね(笑

本当にたくさんのことを思い出させてくれる、自分にとって貴重な一枚です。
スマホで写真を撮って、アルバムの元あった場所にそっと戻しておきました。

先生、ありがとうございました。
写真をとって置いてくださって嬉しかったです。
ダブルプレーになってたら、さすがにぶっ飛ばしてましたよね(笑

50周年記念誌、楽しみにしていてください。




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