『笑顔の中に美味さあり。』

やきとん専門店「やき処やんちゃ」店主ブログ

だだちゃ豆
毎度ありがとうございます!

鶴岡の夏の風物詩といえば「だだちゃ豆」。
茶豆品種ですので「だだ茶豆」と変換する人もいますが、正しくは「だだちゃ豆」です。

だだちゃとは鶴岡の方言で「おやじ・とうちゃん」の意味で、酒井のお殿様が献上された豆を
食す際に「今日はどごのだだちゃの豆だや?」(今日はどこのとうちゃんが作った豆だ?)と
聞かれたことから、鶴岡市白山の豆を「だだちゃ豆」と呼ぶようになったと言われています。

当店でも、数年前から同級生ユウジに紹介してもらった生産農家のマサトモくん家の
枝豆だけを購入させてもらっています。

それまでは産直販売所や地元のスーパーなどで購入していたんですけど、
味のばらつきや価格の変動など、お客様に自信をもって提供はできてはいなかったんですね。

しかもこの時期の鶴岡人は、必ず自宅で枝豆を食べます。
だから枝豆には舌が肥えていて、美味しくない豆には容赦なく「うまぐね豆だごど。」と
はっきりと言います。

そして、まるでマシンガンでも放つように、もの凄いスピードでポンポン枝豆を弾いて食います。
子どものころは、茹で上がった枝豆のざるひとつ分、ひとりで軽く食ってましたもんね。
だから、居酒屋で枝豆の量が少ないと「こいったばしで、この値段だば高げの。」と
これまたはっきりと言います。

今や枝豆は冷凍食品でも美味しく商品化していますから、その気になれば居酒屋でも
一年中メニューに載せて提供することは可能な時代になりました。
東京とかなら、それでもいいのかもしれません。

だけど、ここ豆の聖地鶴岡で冷凍の豆を出す勇気は自分にはありませんし、枝豆の旬の季節に
生産農家直売の枝豆しか提供しないのは、豆っ食いの鶴岡人でもある自分のこだわりでもあります。

当店の枝豆は400円で、まあまあのボリュームだと思っています。
儲かるかといわれれば、枝豆ではほとんど儲かっていません(笑

でもね、それでいいと思ってるんですよ。
豆くらい腹いっぱい食いたいじゃないですか。
それでなくても、自宅に帰れば腹いっぱい食える土地柄なんですから。

当店御用達のマサトモくん家の豆は7月10日頃から収穫が始まります。

一番早いのが「おつな姫」という品種です。
他の豆と同じように見えますが「おつな姫」は茶豆品種ではなく青豆品種です。
一年間じっと待って、ようやく豆を口にできるからか「おつな姫」は甘くて香りもよく
個人的には大好きな品種です。

約一週間の「おつな姫」が終われば、次は「早生甘露」の出荷が始まります。
それが終われば「早生白山」となり、いよいよ今の時期に「白山だだちゃ」が登場します。
「白山」の収穫時期は本当に短いので、この時期の枝豆は見逃せません。
そして9月に入ると「晩生甘露」と「尾浦」で約2ヶ月間の枝豆の旬は終わりです。
※他にもたくさんの品種がありますけど、あくまでマサトモくん家から仕入れる品種順です。

甘みよりも香りがいい品種もあれば、実が大ぶりで香り控えめな品種があったりと
約1週間ごとに味わいが違う品種を楽しめるのも、ここ鶴岡の特権だと思うんですよね。

子供のころ、台所でオフクロが枝豆を茹でていると、家中に甘い枝豆の香りが広がって、
熱いままざるに手を突っ込んで指先がふやけるまで食べた枝豆の記憶が蘇ります。

息子も小学生の頃は、やめろって言うまで豆食うヤツでした。
今は疲れて帰ってきて、豆を食う気持ちの余裕もない日々ですかね。

今朝は、あの頃と同じように家中が枝豆のいい香りの中でブログを書きました。

そして、枝豆が終わると入れ替わるように煮込みの再開です。
どうぞお楽しみに。

 








 

コメント

1. 確かに……

東京でこの時期飲むと、枝豆がだだちゃ豆なのが多くなりました。
値段は東京だから致し方なしと思いますが、茹で方が好みじゃないとぶつくさ文句を言います(笑)
冷凍の枝豆なんて論外です、論外(笑)

最近はペペロンチーノの味付けで炒めたものや、焼いただだちゃ豆なども定番化しつつあります。
耕ちゃんも初めてだだちゃ豆を出したときは、開店前の並んでる時に教えてくれましたもんね(笑)

しかし、去年も今年も近所のスーパーにはだだちゃ豆が入荷しません。
豊作じゃないのかしら。

色々あって、夏の帰省はやめてしまいました。
ちょっと今、帰りづらい……。

2. >しんさん

だだちゃ豆、本当に全国区になりましたもんね。
焼き枝豆はたまに鶴岡でも見かけますけど
自分は注文はしたことないです。
店で、いろいろと試作を作った際に焼いたのを
食べたんですけどハマりませんでした。

今年はゲリラ豪雨の影響か、例年より少し豆の
収穫が遅れているという話しも聞きます。

その分、もう少し枝豆を楽しめるわけですけどね。

仕事のほうも忙しそうでなによりです。
飲むのはいつでも飲めますから、
今度の帰省のときまで楽しみにとっておきましょう。

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