『笑顔の中に美味さあり。』

やきとん専門店「やき処やんちゃ」店主ブログ

とある会話

毎度ありがとうございます!

昨日の閉店間際に、以前ウチでバイトしてたHが顔を出してくれました。
「ちょっと、話しがあるんですけど・・・。」
「おう。いいぞ。どうした?」

聞くと6月末に会社を辞めたらしくて、自分も商売を始めたいとのことでした。
「で、ナニ屋をやりたいの?」
「鶴岡に、旨いカレー屋がないんで、そこが盲点かなと。」
「・・・。盲点ねぇ・・・。」

eyes0616.jpg会社を辞めたものの、この不景気だし仕事もないし、
自分でやっちまおうか的な思惑をすぐに見抜きました。
「そんで、カレーは家でも自分で作ってんの?」
「いいえ。」
「作ったことは、あんの?」
「いいえ。」
「・・・。」

「じゃ、そもそも何で自分で商売をやりたいわけ?」
「もっと自分の時間が欲しいんですよね。」
これはもう、典型的な現実逃避型の発想です。

「お前、オレが気楽にやってると思う?」
「いいえ。」
「自営業が、楽だと思ったら大間違いだぞ。」
「はい。」
「寝る間も惜しんで、煮込み作ったりメニュー考えたり、不安で眠れない事もある。」
「そうでしょうね。」
「お金や時間はあとからついてくるもんで、まずは情熱だろ。」
「はぁ・・・」

「だいたい辞めてからのこの1ヶ月間、1回もカレー作ってないんだろ。」
「はい。」
「ただ、今アイデアがひらめいただけじゃんよ。それ。」
「・・・。」
「例えば、お前が作ったカレーを鍋ごと持ってきて、ちょっとコレ食ってみてくださいよ。
カレーには結構自信あるんですけど、コレで商売できないですかねって言うくらいの情熱がないと
ムリだと思うけどな。オレは。」

「・・・。そうですね。今度作って持ってきます。」
「いや、いらないな。カレーは家のが一番旨いと思ってるから。」
「・・・。そうですか。」
「ごめんよ。悪気があって言ってるんじゃない。つまり、お前の言う「盲点」じゃないと思うわけよ。」
「はい?どういうことですか。」

「お前の言う「盲点」って言うのは、世の中にすでにある商売で、単に鶴岡に無いってことじゃん。」
「そうです。」
「だったら、モツ鍋屋もないし、回転中華なんかも無いじゃん。立ち飲み屋も無いし。」
「・・・。」
「タイ料理やメキシコ料理も無いだろ。それらはビジネスチャンスではあるかもしれないけど、
盲点じゃないのかもしれないよ。風土や食文化とかも関係あるかもしれないし。」
「・・・。」
「既存のお店のメニューの一部ですでに人気だったり、
その一品だけじゃ利益を上げるのは厳しいのかもしれないしな。」
「・・・。」
「アイデアだけなら、オレだっていくらでも出せるよ。」
「・・・そうですよね。」

eyes0381.jpg彼も、ここから這い上がってきたら大したもんですけど、
どうなりますかねぇ・・・。

「なんでも二番煎じじゃダメだぞ。」って励ましたつもりが、
「二番煎じってなんですか?」

こりゃ、厳しいだろうな。やっぱり。

コメント

1. うわぁ

悪いけどいわゆるゆとりっぽい。

借金だけ作りそうですよ。

2. 無題

お疲れ様です。
引越しもお疲れ様です。
自分も居酒屋さんを辞めて・・・
鶴岡に帰ろうか
どうしようか悩んだ時がありまして
引越し・マグロ工場・配送倉庫など・・・
1ヶ月、日雇いでその日暮らしをしてました。

でもその時やっぱり
料理好きだな!って思えたんですよね。
その方も
「やっぱり、これだ!!」
っていうのが見つかるといいですね。

後日談期待。 

3. お疲れさまです

この暑い中、引越しの最中、ドッと疲れる会話ですね
大なり小なり同じような話は私の仕事でもあります
その度に、不肖ですが一応先輩のわたしも、
クドクドと説教めいたことをやっております

「いまの若いのは」と、つい口を突いて出てくる歳になったんだなぁ
自分だって、昔はこの子らとそれ程変わらなかったくせに…
こうして世代は移っていくのでしょうかね

4. お疲れ様です

自分の時間がほしい=自営業
悲しい考え方ですね。
確かに、それで成功してる自営業の方もいますが
それにしたって経験値やノウハウがあってこそですからね。
しかし、僕もサラリーマンを8年した人間ですから彼の言う事も分からなくもないですなぁ~
僕の場合、どうしてもやりたいという気持ちを抑えきれず飲食の世界に入りましたから
そんな気持ちがあれば、おのずとやらなければいけないことが見えてくると思います。
僕もコックになって10年になります。
色々もがき、苦しみました~。
部活同様そうゆうことがなかったら
今はありませんでしたね。
彼に親方の言葉が伝わって
あの時はありがとうございました。
と来てくれる事に期待しますかな。

とりあえず、灼熱の厨房で仕込みを。



5. >しんさん

やっぱり、そう思いますよね。

何とか応援してあげたい気持ちはあるんですけど、
今の感じでは成功するのは厳しいでしょうね。

そんなに甘くないのが現実です。

6. >Dining花さん

そうですよね。
誰でも最初は、何も出来ないトコからスタートしますからね。
でも、いつか店を持ちたいっていう情熱があるから
料理学校に通ったり、飲食店で本格的に調理したり、勉強したりするわけです。

アイデアや机の上で商売をするんじゃないんですよ。
だから、彼もここからなんですよ。

彼のアイデアを全否定じゃダメなんです。
どこか隙間を空けておかないとと心がけてはいるんですけど・・・。

どうなることやら、あとは彼自信の問題です。

7. >酒田むすめさん

確かに「今の若いヤツは・・」と、自分もよく言いますねぇ。

その反面「若いうちにやってみろ。」だの
「若いうちの失敗は恐れるな。」なんても、よく言います。

つまり、説教や叱責にも相手に見合ったアドバイスが必要なのかなと。

脈があるヤツは褒めて伸ばしたり、叱って伸ばしたり・・・。

ただ、今の自分は、それどころじゃないくらい慌ただしいわけでして・・・。

8. >ヒデさん

自分には師匠や親方がいないんで、若いヤツは余計に
「オレにも出来るかも」って思っちゃうのかもしれませんね。

情熱があれば、おのずとやらなければならない事が見えてくる・・・
まさにそこに気付いてもらいたいんですよ。

机の上やアイデアで、商売をするんじゃないってことを。
そんなんでメシが食えんのか、ということなんです。

でも、彼には頑張ってもらいたいんですよ。
本当は。
コメントを書く