『笑顔の中に美味さあり。』

やきとん専門店「やき処やんちゃ」店主ブログ

虚しきテレアポ(後編)
毎度ありがとうございます!

同期入社の中でも、いち早くノルマを達成し顧客と普通に株の話をしているタケダ以外は、
まだ誰もノルマを達成できずに、毎日が暗中模索状態の日々が続いていました。

ある日の昼休みに同期のヤマヤと2人で、いつものようにランチにを食べに歩いてたんです。
そしたら、そのヤマヤが急に妙な事を言い出すんですよ。

「あのよ。タケちゃんて、いつも誰と電話してんだろうな。」
「親父の知り合いとかって言ってたじゃん。」
「でもよ。おれらがテレアポしてる間、あんなにチョコチョコ電話してそんなに話す事あるか?」
「んー、知らねーよ。よっぽど金と暇のある人なんじゃねーの。」
「・・・。」

営業部では、4人づつ向かい合わせで座ってるんですけど、自分の向かいがヤマヤで、
そのとなりがタケダだったんです。

その日の午後は、タケダを含む数人が外回りに出かけ、
営業部には自分とヤマヤとオオタケが残っているだけでした。
その時、いきなり向かいに座るヤマヤが隣りのタケダの電話のボタンを押して叫んだんですよ。

「おい!イシカワ。ヤベーよ。」
「あー。何がよ?」
「ちょっと、これ見てみ。」
「何が?」

当時は各自の机の上に直通のビジネスホンがあって、名刺の番号もそれぞれ末尾が違っていたんです。
もちろん営業部の代表電話もかかってきたら取れますけど、逆に外線への発信は、
すべて0発信(ゼロ)しないと通話ができない仕組みだったんですね。

ナンバーディスプレイなんてない時代でしたけど、
発信履歴だけは「日付」「時間」「通話時間」が表示される電話機でした。

ヤマヤが指差すタケダの電話は、発信履歴すべてが、頭に0の付かない番号ばかりだったんです。

eyes0808.jpg「ん、なんだこれ?どういうことよ?」
「だからよ、タケダは一人で演技してるってことだよ。」
「はあ?なんで?」
「知らねーけど、一人で勝手にしゃべって演技してるってことじゃん。」
「・・・。」
「けっ。」

学生時代には一言も話した事はなかったんですけど、同じ大学から入社して、
配属された支店も同じということから、やっぱり仲間意識は強かったんです。

「ヤマヤ。とりあえずこの事は、誰にも言うなよ。」
「おぅ、わかった。しっかし、あいつには本当に呆れたな。」

そのあとも、同期がテレアポで撃沈されてる間も、
「ええ。今日は2円安ですね。ここはもう少し様子を見てみましょうか。」
なんて話してましたけど、タケダがトイレに立った隙にヤマヤがディスプレイをチェックすると
「177」なんて天気予報に向って話してた事もありました。

実は、自分達がタケダの一人芝居に気付く前から、支店長はわかっていたそうなんです。
自分達が、退社したあとに電話機チェックするのが支店長の日課になってたらしく・・・。

早い段階から、肉親から協力してもらう新入社員は大体この手を使うんだそうです。
「結果がすぐに出ないツライ業務に耐えられないヤツは、本当の証券マンにはなれない。」
というのが支店長の持論だそうで・・・。
しばらくして、そのあとの新規がまったく獲れず、支店長に追い込まれたタケダは会社を辞めました。

今、タケダは東京都議の秘書をやっているそうです。

21歳、春。
みな、本当に明日が見えなくて、もがき苦しんでいた頃です。
希望職種についても、必ずしもやりがいがあるとは限りませんし、その時には分からないものです。
春になるにつれ、街に「新卒」という言葉が聞こえはじめると、あの頃の辛かった毎日を思い出します。

全ての仕事に通じることだと思うんですけど、
答えを先に求めるよりも、その答えが出るまでの過程が大切なんですね。

今日の努力が、未来に必ず繋がると信じています。

今週も頑張りましょう!!


コメント

1. ワハハハハ

そういうオチですかぁハハハ

苦し紛れのウソって、周りには分かっちゃいますよね

先日、わたしの下に付いてる後輩に
「仕事で必要になるからICレコーダー買っとけよ」って言っといたんですが
仕事当日に旧式のやたらでっかいカセットテープレコーダー持ってきたんですよ
で、彼は「ICレコーダー買ったんですけど、壊れちゃってて修理に出してるんで、
きょうはコレ持ってきました」って言い訳したんです



分かりやすいウソつかずに、ちゃんと「まだ買ってなくて、これ持ってきました」って言えばいいじゃないですかね

買ったばかりの製品が壊れたら、すぐ交換でしょうが
町の電気屋さんだったらまだしも、間違いなく買うなら家電量販店でしょうからね

突っ込みどころ満載でしたが、ゲンナリしちゃって何も言わなかったです
やれやれですよ

2. >酒田むすめさん

実は自分もこの数年後に、タケダのことを笑えないようなウソをついたこともあります。
そのウソが原因で引っ込みがつかなくなり、さらにウソをつくハメになって・・・。

その話は近日中にアップしますけど、自分も似たり寄ったりの人間なんです。

随分と、周りの人たちを巻き込んで迷惑もかけてきましたし、
今思い返しても恥ずかしくなるようなことばっかりしてきました。

そのせいか、若いやつらの嘘も簡単に見抜きます(笑
そういうやつらも、いつかきっと気が付くと思いたいんですけど、どうですかね。

酒田むすめさんも、感がイイというか鋭いタイプでしょうから、
下手なウソは簡単に見抜かされそうですよね( ̄_ ̄ i)タラー

体調不良からは復活されましたか?
身体には気をつけて、お仕事頑張って下さい!

3. かく言うわたしも同じ穴のムジナ~

お気遣いありがとうございます
元気になりました
年末から風邪、腰椎捻挫、胃腸炎、そしてまた風邪…
お祓いが必要ですかね?ワラ
てか、無理出来なくなってきたのかも知れません トホホ(;´д`)

嘘つかない人なんていないですよね
わたしも結構口八丁なんで、偉いこと言えたタマでもないですし…ハハハ
前にNHKで「女と男」という特集をシリーズでやってまして
「女脳と男脳の違い」を実験データをもとに紹介してました
それによると「男脳より女脳は人の表情の微妙な違いまで識別できる」らしいです
男の人のウソを女の人が簡単に見破っちゃうというのも、これが原因らしいですよ
殿方の皆さま、お気をつけあそばせ オホホホホ

4. >酒田むすめさん

「女脳」・・・恐るべし(゚〇゚;)

昔から、女の勘とかワケの分からん理屈でも当りますからね~(笑
若い頃、何回窮地に追い込まれたことか(-"-;A ...アセアセ

そう言われると、女性はウソつくときに限ってジーッと表情を見られてる気がしますね。
すべてはお見通しってことなんですね。こわっ。

ウソをつかない真面目人間になりまーす!!
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