『笑顔の中に美味さあり。』

やきとん専門店「やき処やんちゃ」店主ブログ

善意と悪意
毎度ありがとうございます!

毎日のようにワイドショーでやっている「誤送金問題」について思うことを書いてみます。

もちろん自分の金じゃないんだから、ネコババしたら犯罪になるのは当然なんですけどね。
ただ、忙しいなか自宅から2時間もかけて自分の銀行の窓口に連れていかれて、役場のミスなのに
「はい、ご迷惑をおかけしました。ありがとうございました。」で終わってしまっては、
やっぱり邪な気持ちになる人って世の中にはいると思うんですよね。

今回の件、自分は落とし物を拾ったケースと似てると思うんですよね。
落とし物、いわゆる拾得物を届け出た場合、報労金は5%~20%と法律で決まっています。
さらに届け出から3カ月以内に持ち主が出てこなかった場合は、その全額を受け取ることができます。

今回のケースでいうと、4,630万円ですから報労金は2,315,000円~9,260,000円の間になります。

金額が大きいんで、実際はどのくらいの報労金が妥当なのかはピンとはこないんですけど、
役場の人間が容疑者宅を訪れた際に「やっぱ100万くらいは欲しいっすよね。」と冗談めいて
話していたそうですから、お金に困っている人が4,630万円なんて金額を見てしまったら
やっぱり謝礼は欲しいと思う人もいると思うんですね。

今回のケース、もしも誤送金への報労金の法整備が確立されていたとして、役場の人間が
「公金という性質上、報労金の最低ラインの額しかお渡しできませんが231万円をお渡しする予定です。」
「お手数をおかけしますが、お手持ちの口座窓口での返還手続きにご協力をおい願いします。」
と伝えて車で片道2時間移動させていたなら、結果は違っていたと思うんですけどね。

あとは、拾得物の報労金のように、受け取らないということも権利として残しておけば
「そんなお金は結構ですから。」という方がいてもいいわけじゃないですか。

昔ありましたけど、ゴミステーションや山中などで紙袋に入った札束を拾って届け出たら、
持ち主が出てきたら謝礼をもらえるし、3カ月経っても出てこなかったら全額もらえるんですよ。

そういうのって貰えるから届け出るわけじゃないですけど、結果的には貰える権利はあるわけで。

もちろん犯罪を容認するつもりもありませんし、仕方ない事件だとも思ってはいませんけど、
「そちらが勝手に間違っておいて、車で2時間もかけて連れて行かれるのもどうなの。」くらいは
正直、ひょっとしたら自分でも思うかもしれません。

ネットバンキングなどが全盛の今の時代、誤送金って結構多いそうなんですよね。

今回の事件とは少し性質は違うんですけど、自分もOB会の事務局を務めていますから、
OB年会費や甲子園の寄付金などの口座を管理する際に、必ず誤送金というか振込人名義不明で
振り込まれるケースが後を絶ちません。

「お振込みはOBご本人の名前で振り込んでください。」と、どんなに大きな文字で告知しても、
親の口座から手続きしたのか振込人がOB名簿では判明しないような見知らぬ名前だったり、
「野球部OB会代表 渡辺清」の受取口座に【ワタナベキヨシ】で振り込んでくるケースだったり。

その都度、銀行やゆうちょ窓口に問い合わせても、個人情報だの振込人の承諾が必要だの、
もちろん振込時に入力した電話番号もこちらには教えてもらえませんし、そのほとんどが
判明できないことの方が多いんですね。

今回の件とはズレてしまいましたけど、そのくらい銀行で行う返還手続きや不明入金の解明などは
思っている以上に大変で労力を使うということなんです。

全く知らないところから自分の口座にお金が振り込まれたなんていうのは、
落とし物の財布を拾ったようなものじゃないですか。

返して当然、当たり前ですけど、思っている以上に手続きが面倒くさいわけで、
そのあたりの善意をどう労ってやるのか、ということなんです。

財布を拾ったり、紙袋に入った札束を拾ったケースと比べても、誤送金に対する受け手側の
処理や善意は軽んじられているんじゃないのかなというのが、小心者の私の私見です。

以前、お店の前でスタッフが5万円入った財布を拾って交番に届けたら、翌日すぐに
持ち主が謝礼1万円を持ってそのスタッフにお礼に来たことがあります。

お礼を貰うか貰わないか、その金額が多いか少ないかではなくて、
「ありがとうございました。助かりました。」という感謝の気持ちがそこにあって、
お礼をカタチにすることが出来たのであれば、今回のような事件にはならなかったような気がします。

自分が間違って送ってしまった側ならば、やっぱり「お礼はしなくては。」となるでしょうし。

今回のようなヒューマンエラーは、これからもっとカタチや内容を変えて出てくると思いますよ。
便利になった反面、思わぬトラブルや事故に巻き込まれるケースもあるでしょう。

「善意」が「悪意」になってしまわないように、これからの時代に沿った法整備も必要なのかも
しれませんね。

今日の鶴岡は暑くなりそうです。
水分補給を忘れずに、元気に頑張っていきましょう!



コメント

1. 無題

今回の問題は、送られたのが役場からの「公金」だということですよね。

企業や個人が間違って送金したのならば、その企業・個人の裁量でお詫び、お礼をすれば良いと思います。

今回は町役場からの「公金」が誤って送られたのですから、お礼といった概念は存在しないと思います。また公金の誤送金にお礼が発生したら、必ずや詐欺をはたらく輩が出てくるでしょう。今回も当初は役場職員がグルだったかのように疑われていましたし。

町役場の職員は、自分のお金ではない公金だけに、取り返すのに必死だったのではないでしょうか。公務員のミスには厳しい世間の風潮ですから。

また今回の件は「ヒューマンエラー」ではありますが、根本は役場の「システムエラー」ですね。どんな組織も完璧はあり得ません。町役場の「組織」としてのミスは当然責められるべきであり、今後同じミスを起こさないシステム作りが求められるでしょう。

今回はミスしてしまった、それでも何とかお金を奪還しようとした役場職員の方に肩入れしてしまいますね。

2. >ジュニアさん

初めに言っておきますが、自分は今回の事件や容疑者を容認しているわけではありませんよ。

ただ、個人だろうが企業だろうが公金だろうが、わざわざ人を巻き込んでおいて
手ぶらってことはないだろう、と言葉にする輩は少なからず世間には存在するということです。
ほとんどの人は素直に返金に応ずるはずなんでしょうけどね。
モラルや常識では抑えきれない感情があるから犯罪が起きるわけですから。

ここでは議論しませんが、自分は見たこともないような大金を見てしまい
よこしまな気持ちになりネコババしようとした容疑者のことを
単純でバカだなとは思うけれど、役場の職員にだけは肩入れできませんけどね。

犯罪に対する考え方や犯人に対する処罰や量刑についての感情は
人それぞれに違いはあるでしょうから、そこに正解も不正解もないはずです。

今後、同様の事件が起こらないことを願いつつ、
平凡でもつつましい生活を心がけていきましょう。



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